君のひだり

「別に、何でもない。」


私は全部聞いてしまったのに。


下を見てそう言う蒼瀬に腹が立って怒鳴ってしまう。


「なんで惚けたふりするの!?私は全部聞いちゃったんだよ!?転校のことだって、手術するってことだって。でも、なんのことか全然分かんないよっ!私には教えられないの!?・・・・ただの、友達だから?」


「・・・・っ!!」


蒼瀬がはっとしてこっちを向いた。


そして、何かを決意したように話した。


「・・・・・・・俺、右耳が聞こえない。」


え?


聞こえない?

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