君のひだり
「どうゆう、・・・・・こと?」


「生まれつき聞こえないんだ。右耳だけ。だから、隣の県の病院で手術することにした。・・・・・そのために転校する。」


そこで私は気づいた。


「・・・・だから、いつも蒼瀬は私の右側にいたの?」


「うん。・・・・そうだよ。」


こんなに悲しそうに話す蒼瀬を初めて見る。


私はなんて言ったらいいか分かんなくて言葉を探す。


「今まで黙っててごめん。でも、今日試合見に来てくれて嬉しかった。」


「・・・・・私こそ、怒鳴ってごめん。・・・・・・試合、凄かった。おめでとうっ。」


私が泣きながら言うと、蒼瀬は私をふわっと抱きしめた。

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