最後の歌
頑張ろうと決めたものの、キツいことだらけで正直辛かった。
自分なりに精一杯の努力をしているつもりなのに、空回りばかり。
一方、そんな俺とは対照的に海斗は、あの舞台をきっかけに『人気俳優』の肩書きがついた。
最近、原作が100万部売れた人気小説の映画主演が決まり、俺とは天と地との差がついた。
そんな時、久しぶりにオフの海斗と|日中と遊んだ。
『海斗は俺とは違う。』
『こいつは人気俳優。』
など俺は思っていた。
小学校に入学してから今までずっと隣にいた海斗が
だんだん俺の知らないヤツに
なってくような気がして、なんだか淋しくなった。
『灯、お前今日おかしくね?』
「え?そうか?」
『何か上の空っていうか…。』
「いや普通だぞ?」
『絶対お前おかしいって!!!』
「おかしくねえって!!!」
しばらく海斗と言い争った。
「お前何か悩みあんの?」
「別にないけど?」
「そっか。」
何故か海斗は一瞬寂しそうな
顔をした。
ごめんな海斗…。