最後の歌
なんだか気まずい空気が流れた時海斗がいきなり話を切り出した。
「灯、俺お前に相談あるんだけど」
「どした?」
海斗が相談なんて珍しいな。
「俺、未菜と別れるかも。」
「は!?なんでいきなり!?」
海斗と未菜は、中学時代から5年以上も付き合っていて、俺も未菜と仲が良い。
昔からこの2人はお似合いで、俺の憧れだった。
だから、どうして別れるかもなんて言うのか分からなかった。
「なんでだよ。」
「最近、未菜が変なんだよ。」
「変?」
「前は、俺が仕事でなかなか会えないと寂しがってたのに、今は仕事が休みでも会わねんだよ。」
「それは未菜が海斗の仕事を理解してるからじゃねえの?」
「俺もそうかと思った。でも、未菜ホストクラブ通ってんだぞ?」
「未菜がホストクラブ!?」
「あぁ。尚哉の友達の客らしい。
俺もう未菜のことわかんねえよ…。」
「海斗…。」
今まで見たことないような表情の海斗を見て、俺は自分が情けなくなった。
俺は海斗の親友じゃないのか?
どうして、こいつの悩みに気付いてやれなかったんだろう?
俺は海斗の何を見てたんだろう?