最後の歌
コンコン―――――
『有柚ちょっといいか?』
「何?」
『ちょっと話さねえか?』
「いいけど…。」
ガチャ――――
お兄が入ってきた。
『お前さっき灯と喧嘩しただろ。』
「知ってたの?」
『さっき灯と話したから。』
「何を?」
『あいつの仕事のこととか有柚のこととか。』
「そっか。」
『灯は自分のことよりも有柚のことを想ってると俺は思う。』
「あたしのこと想ってるんなら別れるなんて言って欲しくなかった。」
『灯だって別れたくねえだろ。』
「じゃあ別れなくていいじゃん!!」
『辛い思いするのは有柚なんだぞ?』
「あたしはトモと別れる以上に辛いことはない。」
『ならそれを灯にちゃんと言えよ。無理矢理追い出して勝手に泣いてたって解決しねえぞ。』
「うん。トモと話しする。」
『あいつならリビングにいるから。』
「え?」
『このまま帰れねえんだって。
灯かっけえ〜っ!!!』
「お兄からかわないでよ。」
『わりい。早く行ってこい。』
「うん!!」