最後の歌



「あたしが生まれる時にママは自分の命と引き換えにあたしの命を守って死んだんだよね?」




『………え?』




「あたしは、パパとお兄からママを奪ったんだってずっとずっと悩んでた。」




『有柚……。』




「ママだってまだ24歳だったのに。人生これからって時にあたしのせいで……。」




『それは違う!!!!』




「違わないよ。事実でしょ?」




『俺はあの時、桜から言われたんだ。「あたしの命なんてどうでもいいから、有柚だけは絶対に助けて。そしてあたしの代わりに有柚の成長を見守ってあげて。それがあたしの幸せだから。」って』




「ママが……?」
















『俺も言われた。』



「お兄?!」






いきなりお兄がリビングに来た。




『俺は母さんに「陽介、ママはもう遠いところに行かなくちゃいけないの。でも、ずっと陽介と有柚のこと見守ってるからね。陽介はお兄ちゃんだから有柚の事守れるよね?」って言われた。』




「そんな……。」




『有柚。俺も親父もお前のせいで母さんが死んだなんて思ってない。母さんのおかげで有柚に出会えたんだ。なあ親父?』




『あぁ。お前は俺達の宝物だ。』




「パパ…お兄……。」







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