黒桜~サヨナラの前に~




「あ~、舞娜さんの事気に入ったのかぁ。」



下っ端君達は飽きれ顔で笑っていた。



それにつられて、あたし達も笑う。



「……楽しいね。」



「え?」



「あたしね、海に来たの、初めてなの。」



「え!?そうなんすか!?」



「うん。今までこういうことするの絶対に許されていなかったから。」



「……え?」



あたしの言葉に怪訝な顔をする皆。



……言っちゃダメなの言っちゃったよ。



「……家が厳しかったからだよ。あんまり気にしないで?」



本当だけど、本当じゃない。でも、嘘をつかないと皆を不安にさせちゃうでしょ?



あたしのその言葉にも皆は怪訝な顔をやめない。



「ほら、遊ぼうよ!皆と沢山遊びたいの~!」



「……そうだね。よし、皆、遊ぼ!まず、ビーチバレーだよ!」



ルルが笑って、下っ端君達もやっと怪訝な顔をやめた。


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