黒桜~サヨナラの前に~
あたしは部屋を出て、まず自動販売機に向かった。
そこで水を買い、外に出る。
ホテルの壁に寄りかかり、さっき買った冷たい水の入ったペットボトルを腫れた目にあてる。
「……っ……」
気が緩むと、また涙が出てくる。
あんなに泣いたのに。
自嘲気味に笑いながら、こしらへんを触る。
「……っんでよ……!」
何であたしなのよ。
あの人達に標的にされたくなかった。
もっと、自由に生きていたいのに。
「……助けてよ。誰か……助けて」
誰かに助けを求めるんだ。
怖くて、怖くて仕方がないから。