黒桜~サヨナラの前に~



――――ヴォォッン!!



突然聞こえた無数のバイクの音。



「……兄さんが仲間を連れてきたのかな。」



冷静なコイツは、またあたしに視線をおくる。



「もう逃げられないね。……このゲームのタイムリミットは……もう無限にしか広がらない。……そう、アンリミテッドだ。」



アンリミテッド……。それは、無限。



もう二度と止まらない刻。



「……んなわけねぇだろ。」



「!!?」



聞き馴染みの声。これは……なにかの夢?



なんでここにいるんだろう。場所なんか教えていない。



なのに、なんで……



「陸っ!」



ここにいるの?



「お待たせ。」



いつも、困ったときは、苦しいときは、陸が必ず側に来てくれた。



嬉しくて、でもそれと同時に、悲しくて。



あたしのせいでまた陸を巻き込んでしまうんだね。



……来てくれたのは嬉しいよ。本当にありがとう。





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