黒桜~サヨナラの前に~
でも、ね。
こんなときにまで、来なくてもいいんだよ。
「おい、お前。もう諦めろ。」
あたしの側まで駆け寄ってきて、みぃと白を抱き締める陸。
「……は?」
「もう警察には連絡したし、逃げようとしても無駄。外には俺の仲間がいるし。」
「っ!?」
いつのまに……。ていうことは、無数のバイクの音は、陸達?
「……僕はまだ、捕まるわけにはいかないんだ。」
「は?」
あぁ、またあんたは、あの時みたいな……悲しそうな、苦しそうな顔をするんだね。
すると突然あたしを見て、無理矢理立ち上がらせると、引きずるようにして外に連れていく。
「……ちょ、ちょっと……!」
扉を開けると、連達や秋達も居た。
「舞娜!?」