黒桜~サヨナラの前に~
夏休みのその日も恭ちゃんと一緒に遊びに行った。
いつもはあたしが行きたい場所に連れていってくれていたのに、その日だけは恭ちゃんの行きたいところに行ったんだ。
「恭ちゃん~、疲れたぁ。」
「ごめん、もうすぐだよ。」
そう言って、全然着く気配無いんだけど。
山の中に入っちゃったし。
「ついたよ。」
数時間も歩いてたどり着いたそこ。
山の中にポツンと建っている小さな建物。
「……え?なにここ。」
怖くなってあたしは恭ちゃんの腕を掴んだ。
「……ゴメン、ゴメンね。」
何度も謝ってくる恭ちゃん。だけどあたしには、何の謝りか分からなかった。
「……ゴメンね。君はもう、逃げられない。」
悲しそうな笑みを浮かべて、嫌がるあたしを無理矢理建物の中に連れていく。
まだケンカが出来なかったあたしは、抵抗なんてしても無意味。