黒桜~サヨナラの前に~
「早く行きな。」
二人はあたしをおいて、山の方へと歩いていく。
「……ありがとう。」
小さな声でお礼を言って、あたしは走る。
恭ちゃんに言われた通り、道を真っ直ぐ走った。
そこから何時間走ったか分からない。だけど、私の目の前には……懐かしい自分の家があったんだ。
舞娜side
「阪上兄弟はきっと、四人兄弟なんだろうね。あ、でも一人は女の子かも。
……兄の名前は、確か……阪上 犂~さかがみ れい~だったかな。」
今でも史上最悪な過去。
家族との仲もそこから一気に壊れていった。
「……よく、頑張ったな。」
いつのまにか連が側に来ていて、あたしを抱き締めてくれた。