黒桜~サヨナラの前に~



作戦を建て、理事長室までダッシュする。



幸い授業中だからか、先生たちとは誰とも会わなかった。



―――――ガチャ!


ノックもしないで、理事長室に転がり込む。



「……お前ら、何してんの?」



あきれた声を出しながら、あたしたちに近付いてくる幸ちゃん。



「空き教室の鍵ちょーだい。」



手を出して、鍵を求める。



だけど……



「あー、それならコイツらに渡しちゃったわ。」



「え?」



幸ちゃんが指差した方向を見ると………



「うわっ……!」



朝、会った奴等が居た。そこにはヤッパリあの気持ち悪い人も居て。



「……最悪。」


無意識に一言ぽつり。



「えー、酷いなぁ。あ!空き教室に行きたいんだよね?一緒に行こっか!」



「…………………嫌です。結構です。」



名前はわかんないけど、ニコニコ分かりきった偽物の笑顔を張り付けて。




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