黒桜~サヨナラの前に~


倒れた?いつ?



嘘だろ……、なんで、俺は分からなかったんだ……!!



「次に倒れたら、覚悟しといた方が良いって、前々から言われてる。」



覚悟。



それが、どんなに残酷なのか。



「……そんな覚悟出来ないよ……。」



楓はもう既に涙を流している。



秋だって、うつむいて一言も喋らない。



それから十分後、やっと赤いランプが消えた。



おれにとってその十分はとてつもなく長く感じて、一生このままなんじゃないかって思うほどに。



その間、誰一人として言葉を発しなかった。



「先生………?舞娜は、大丈夫なんですか…………?」



冷静で、取り乱していない。



それは………





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