黒桜~サヨナラの前に~
「……それじゃあ、バイバイ。……また……来年。」
名残惜しそうに後ろを向く来美。その時、一瞬だけ来美の目から一粒の涙が零れ落ちるのを見た。
来美に続いて皆も舞娜に語りかけてから後ろを向いて歩き出す。
「……じゃあな、来年まで待ってろよ。」
そう言ってから、皆の元に歩き出す。
『皆、ありがとう。あたし、待ってるから。ずっとずっと、待っているから。』
風にのって聞こえてきた舞娜のその声は……きっと、俺の聞き間違いだ。