黒桜~サヨナラの前に~



軽めの音が部屋に響き渡る。



「姉貴!」


「大丈夫。」



心配してくれる白たちに声をかけて、お母さんの方を見る。



顔を赤くして、すごく怒ってることが分かる。



「あんたねぇ!うちに傷つけたらただじゃおかないわよ!!?」



娘より、家の地位が大切なんだね。……それもそうか。あたしの家の地位は世界No.1の財閥、嚶崎。



昔から、あたしのことなんて見向きもしなかった。



お父さんは学校の行事なんて一回も来たことなんてなくて、いつも仕事、仕事。あたしのことは、跡取りのための道具としてしか見ていない。




お母さんだって、仕事優先。仕事と学校行事が被ったら、いつも仕事に行く。



二人ともたまにしか家に帰ってこない。帰ってきたとしても、あたしとは喋らない。


< 20 / 196 >

この作品をシェア

pagetop