黒桜~サヨナラの前に~
軽めの音が部屋に響き渡る。
「姉貴!」
「大丈夫。」
心配してくれる白たちに声をかけて、お母さんの方を見る。
顔を赤くして、すごく怒ってることが分かる。
「あんたねぇ!うちに傷つけたらただじゃおかないわよ!!?」
娘より、家の地位が大切なんだね。……それもそうか。あたしの家の地位は世界No.1の財閥、嚶崎。
昔から、あたしのことなんて見向きもしなかった。
お父さんは学校の行事なんて一回も来たことなんてなくて、いつも仕事、仕事。あたしのことは、跡取りのための道具としてしか見ていない。
お母さんだって、仕事優先。仕事と学校行事が被ったら、いつも仕事に行く。
二人ともたまにしか家に帰ってこない。帰ってきたとしても、あたしとは喋らない。