黒桜~サヨナラの前に~
何であたしが瑠璃南を苛めなきゃいけないの?
『ちょっと待ってよ。あたしはそんなことしてないよ?
』
見に覚えが全く無い。
『う、嘘つかないでよぉ!瑠璃南は舞娜ちゃんに苛められたんだよぉっ!……ふぇっ、ヒック……ッ!』
知らない、シラナイ。あたしはなにもシテナイヨ。
『お前、姫やめろ。』
『え?ひ、洋、何言ってるの?冗談はやめ』
『冗談なわけねぇだろ。……さっさとこっから出てけ。』
低くあたしを信じてくれない声に瞳。
何でよ。あたしはやってないって言ってるじゃん。
長くいたあたしよりも瑠璃南を信じるんだ。
……結局皆、上部だけだったんだね。
その場から動かないあたしに痺れを斬らしたのか、剣磨が近づいてきて、あたしを蹴り飛ばす。
『っ……!』
痛い。例え本気じゃなくても、族の幹部レベルの人だ。少しの力だけで吹き飛ばされる。
『おね、がい……。信じて……っ信じてよぉ!』