黒桜~サヨナラの前に~
忘れられない
~洋side~
俺らはアイツと会った後、屋上に向かった。
―――――ガチャ
「うわっ、暑つっ!」
屋上に入ったとたん熱気がむわっと向かってくる。剣磨が言う通り凄く暑い。
「……。」
皆でなるべく日陰の所に行って、どうでもいい話をしている。いつも孝も入ってくるのに、今日はやけに静かだ。
「孝?どーした?」
優良もそれに気付き、話し掛ける。
「いや、アイツの格好がさ、なんか気になんだよ。」
「はぁ?何でアイツのことなんか……」
俺らの中で『アイツ』はタブー。名前を言うやつなんて誰もいない。
「……どうでもいいだろ。アイツは」
「洋………」
俺はこれ以上アイツの話を聞きたくなくて自分から話を切った。