黒桜~サヨナラの前に~
心の行方不明
ここは、何処なんだろう。
真っ暗で、光なんて一筋も差していない。
まるで、あのときと同じ感覚だ。
『君はもう、逃げられないんだ。……君は一人じゃないからね。』
あの人が向けるその愛はあたしにとって、心の凶器にしかならなかった。
あたしは死んだのかな?
……それならそれでもいい。そうすればあの人ともう二度と関わらなくて良いのだから。
『………な……。お……ろ……っ』
この声……
「陸……?」
何を言ってるのか分からない。だけど、優しい陸の声が聞こえた方向にあたしの足は動いていた。
さっきまで何も見えなくて、ただ、暗闇が続いてるだけだったのに。
その方向に少し光が見えた気がした。
このまま行ってしまえば、あたしきっと、生き返ってしまうのだろう。