黒桜~サヨナラの前に~
「ぁ、あぁ、気付いたのかっ!……っ、良かった!」
真っ白な空間。
ここは、病院……?
あれ、それよりも……
「り、く………、泣いて、るの?」
上手く喋れない。それでも必死に言葉を紡ぐ。
聞こえるように。届くように。
「……泣いてねぇよ。」
嘘。泣いてるくせに。変なとこで我慢強いんだから。
――――ガラ………ッ
突然開いた扉。
そちらに目だけを動かす。
「陸、舞娜起きた?」
久しぶりの二人のシルエット。
ヤッパリ安心する声。
「白、みぃ………。」
二人が来てくれた。それだけも凄く嬉しくなった。
「えっ……?舞、娜?」
「姉貴……、目ぇ覚めたのか?」
「……う、ん。そうだよ。」