黒桜~サヨナラの前に~
お母さんと鉢合わせてしまった。
「あ、お、お母さん。学校に……」
あたしが作り笑いを浮かべて、お母さんに話しかけている途中に、あの人はどっかに行ってしまった。
あの事故以来、あたしは家族と話していない。
お父さんなんて、家に帰って来なくなってしまった。
お母さんは、あたしと話してくれやしない。それどころか、あたしを視界に入れたくないみたいにあたしを拒絶する。
「……舞娜。」
「っ……!平気だよ!そんな顔しないで?行こ?」
大丈夫。ずっと前の家族に戻っただけだから。
傷つく必要なんて無い。
――――ガチャ!
玄関のドアを開け、外に一歩踏み出す。
「……ん?」
あれ?な、何?
「ド、ドラ〇モンのどこ〇もドアじゃ無いよね?」
「違う、違う。」
3人に突っ込まれ、あたしは1度深呼吸をする。
「……で、何であんた達がいるの?」