黒桜~サヨナラの前に~
みぃは本当の笑顔を浮かべたことがあの日から無いと思う。
―――――救いたいのに、救えない。
「お前ら、静かにしろ!」
連の一声で静まり返る倉庫内。
緊張感も一気に高まる。
「お前らに紹介したい奴がいる。大事なことだ。しっかり聞け。」
「はいっ!!」
下っ端が全員返事をする。
こういうところはしっかりしてるんだね。
なんて一人、納得しながら前に進み出る。
「……嚶崎舞娜です。幹部以上の人達には認められました。……これから黒桜の姫になります。」
あたしがここまで言った瞬間騒がしくなる倉庫内。
それもそうなのかな。
だってあたしは皆からすれば恋蘭を裏切った最低の元姫なんだから。
そんな奴が黒桜の姫になるなんてって驚くのは当然。
でも、そんなのは嘘。
……なんて言っても信じて貰えないんだろうな。