Kissの温度
真正面からちゃんと見た彼は
茶色の瞳に茶色の髪の毛
背も高くスタイルもいい。


落ち着いた雰囲気から
年上の感じがした。



私は真っ直ぐ見つめる
彼の瞳から
目をそらす事ができず
ただじっと
その瞳を見つめ返した。



私たちの周りだけ
時間が止まっているような
そんな感覚に陥る。



不意に彼が掴んでいた
私の手を持ち上げる。


そして
冷やしていた部分に
そっと唇を押し当てた。



『…っ!!』



またまたびっくりしている
私をよそに彼は真剣な顔で



「医務室行けよ。」



そう言って私の顔を
再び見つめる。


今度は彼の視線から
逃れるようにうつむき
私はお礼を言おうと口を開いた。



『はい、ありがとうござい…』



すると
私の手を掴んでいた彼の手が
うつむいた私の顎に添えられ
ぐいっと持ち上げられる。



『えっ…』



抵抗する隙さえなく
そのまま私は
彼に唇を奪われた。



「傷残ったら責任とるよ。」



そう言い残し彼は
給湯室から去って行った。


私はしばらくア然と
その場に立ち尽くしていた。



‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥
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