Kissの温度
2.冷たいKiss
昼休み…



「ねぇ遥〜、営業部に新しい人
入ってきたでしょ。」



綾はサラダを口に運びながら
私の顔を見た。



『ん〜』



私は興味なさそうな返事を返す。



「今朝総務に来たんだけど、
みんなでかっこいいって
言っててさぁ。
私はタイプじゃないんだけど…
遥はどう?」



入社当時
同じ営業部にいた綾は
今年春から総務に移動になった。



『どうって言われてもね…
まだよくわかんない…』



私は頬杖をついて
窓の外を眺める。



見た目は…まあかっこいい
けど…
なんだか得体が知れない感じで…



『見た目良くても…ね…』



ボソッと呟くように言う。



それを見た綾は
首を傾げながら私を見る。



「なんかあったのぉ?」



『えっ!別に何もないよ。』



私は慌てて手を左右に振った。



そんな私の様子を
じっと綾は見つめていたが
不意に何かを思い出したように
話題を変えた。



「あっそうだ。今日夜暇?」



『えっ、なんで?』



一瞬動きが止まる。
今日は本城さんと約束がある。



‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥
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