Kissの温度
シャワーを浴びて戻ると
窓際で本城さんは
煙草を吸っていた。



『すぐ支度するね…』



私は帰る準備をする。



いつもの事だ。



のんびり過ごす時間なんて
私たちにはない。



それに慣れてしまっている
自分がいた。



始めのうちは違った。



私にも感情があった。



悲しくて寂しくて
もっと一緒にいたくて…
でも彼を困らせたくなくて
強がって「大丈夫」って微笑んだ。



いつも切なかった。



彼は目の前にいるのに
手を伸ばしても
掴む事が出来なくて‥‥



でもこれは自分が選んだ事で‥



そんな感情に毎回悩んでいたら
今では何も感じなくなっていた。



考える事に
疲れたのかもしれない‥‥



‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥
< 24 / 51 >

この作品をシェア

pagetop