Kissの温度
私がぼんやり考えていると
彼は私の頬を袖口で拭う。



「あんな男やめて
俺にしとけば…」



『…!!』



この人何言ってるの!?

あんな男って本城さんの事!?



なんで知ってるの!?



私は若干パニックになりながら
口をぱくぱくさせていた。



「クッ、ちょっと落ち着けよ。」



彼は笑いながら
私の頭を撫でようとする。



私はその手を振り払った。



『あなた、いったい誰っ!』



「そんなに怒るなよ。
キスした仲だろ。」



『…っ!!』



私の頭の中では
あの日の記憶が甦る。



『あっ、あの時のっ…!』



「思い出してくれた?」



ニヤリと笑う彼を
私はア然と見つめる。



そう以前道端で
いきなりキスした男だった。



「また会えたな。
これって運命じゃねぇ?」



ニコニコ微笑みながら
私の肩をポンっと叩く。



『そんなわけないでしょ!』



私が睨みつけると



「怒った顔もいいねぇ。」



そう言って
素早く頬にキスをした。



『ちょっ…!!』



「あんたってさ
ちょっと無防備すぎるよな。」



彼はいたずらに笑いながら
キスした頬にそっと触れる。



もう私は抵抗する気力すらなくなっていた。



‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥
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