Kissの温度
「なんだよ遥
急におとなしくなって。」
『別に…』
そう答えた後…
不意に私は違和感を感じる。
あれっ?
今私の名前‥‥
『ちょっと‥なんで
私の名前知ってるのよ?』
「あっ……えっと…
俺あんたの名前言ったか?」
『言ったじゃない、遥って!』
少し視線が泳いで上を向く。
「それは……ほらっさっき
あんたの男が呼んでたから…」
『えっ…あの時見てたの…』
きっと私が
本城さんの呼びかけに
振り向きもせず
歩き出したときだ。
「だから、あんな奴やめて
俺にしとけよ、遥。」
『なんで私があなたと…
意味わかんない。』
私の両肩に手を置き
ニコニコしている彼を睨む。
「一目惚れってあるんだな。
ずっと忘れられなかったんだ。」
『えっ‥』
急に彼は真剣な表情で
私を見つめる。
その瞳を見返すと
私の心臓は何故か高鳴った。
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