Kissの温度

「遥を見つけた時
マジ嬉しかったよ。」



優しい笑顔に目が離せない。



彼は私の瞳を
真っ直ぐ見つめたまま
濡れた髪を優しく撫でた。



「おいっ、なんとか言えよ。」



照れているのか少し頬が赤い。



『えっと…どうもありがとう』



「ククッ、なにそれ。」



今度は少年のような笑顔で笑う。



『あなた名前は…?』



「えっ…俺?」



『そう、あなたの名前。
私の名前知ってるのに
あなたの名前まだ知らないから』



「そうだよな。俺の名前は、
あ‥」



そこで一瞬言葉が切れた。



『あ‥?』



私は首を傾げる。



「あっわりぃ、俺の名前は
アキラ…暁って言うんだ。」



『暁…』



「ああ、そうだよ。
暁って呼べよ遥。」



『呼ぶ機会があればね。』



「なんだよ、冷てぇなぁ。」



暁はふて腐れた顔をすると
私の頬を軽くつねった。



『やめてよ。』



「やだね。」



そう言って暁は
私にじゃれついてくる。



‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥
< 35 / 51 >

この作品をシェア

pagetop