Kissの温度

−ドンッ!−


突然誰かとぶつかった。
私がぼんやりしていたせいだ。


手に持っていた会社の封筒と
鞄の中身が地面に散らばる。



『すいませんっ。』



私はぶつかった相手に
謝りながら
散らばった物を拾い集める。



「いや、こっちこそごめん…」



少し低めの声が聞こえ
一緒にしゃがんで
私の荷物を拾ってくれる。



ちらっとその人を見ると
フードをかぶり
サングラスをしていて
顔はよくわからなかった。



不意に
サングラス越しに目が合う。


彼の動きが一瞬止まった。


そして何か小さく呟く。



「み…けた…」




‥*‥‥*‥‥*‥‥*‥‥*‥
< 4 / 51 >

この作品をシェア

pagetop