Kissの温度
−ドンッ!−
突然誰かとぶつかった。
私がぼんやりしていたせいだ。
手に持っていた会社の封筒と
鞄の中身が地面に散らばる。
『すいませんっ。』
私はぶつかった相手に
謝りながら
散らばった物を拾い集める。
「いや、こっちこそごめん…」
少し低めの声が聞こえ
一緒にしゃがんで
私の荷物を拾ってくれる。
ちらっとその人を見ると
フードをかぶり
サングラスをしていて
顔はよくわからなかった。
不意に
サングラス越しに目が合う。
彼の動きが一瞬止まった。
そして何か小さく呟く。
「み…けた…」
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