Kissの温度
「はぁ…遥、足速い。」
私に追いついた嵐は私の肩に
手を置き、呼吸を整えていた。
『ちょっと、一人で帰れるって
言ったでしょ。』
私は肩に置かれた手を振り払う。
「なぁ、何怒ってるんだ?」
『別に怒ってなんてない。』
(なんで私怒ってるんだっけ?)
なんとなく嵐といると、
意地っ張りな自分が出てしまう。
「みんなにキスした事
言ったからか?」
『あっ!そうだった。ちょっと
なんであんな事言ったのよ。」
私はその事を急に思い出し
嵐の方を向いた。
「それは…遥は俺のものって
言っときたかったから?』
『なんで最後は疑問形なのよ!』
なぜかそこに腹が立ち怒る。
「なんだ、やっぱり俺の事
好きなんじゃないのか?」
『はあ?なんで、そうなるの!』
私は呆れて
歩くスピードを速めた。
「俺さ、遥は絶対俺の事
好きになると思うんだけど。」
『ちょっと、どんだけ自分に
自信があるのよ。私は簡単に
騙されないんだから。』
すると急に手を取られ
ビルの隙間に連れ込まれた。
『ちょ、ちょっと!』
薄暗いビルの隙間。
うっすら月の光が差し込み
ぼんやりと嵐の顔を映し出す。
私は壁に背を押しつけられ
身動きが取れなかった。
嵐は私の肩に頭を乗せる。
「俺、自信なんてないさ。
ただお前を誰にも取られたくない
だけだ。」
私の肩に顔を埋めた嵐は
少し弱々しく私に言った。
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