Kissの温度
やはり私の中で本城さんとの
距離が少しずつ開き始めている
のを感じる。
『はぁ。』
私は大きく息を吐き
この胸のもやもやを少しでも
外へ吐き出そうとした。
(このままじゃいけないよね…)
すると不意に後ろから声を
かけられる。
「成瀬。」
(この声は…)
聞きなれた声。
姿が見えなくても私には分かる。
私はその場に背を向けたまま
立ち止まった。
周りには誰もいない。
廊下には私たち二人きりだ。
「遥…」
私に聞こえるくらいの声で
名前を呼ぶ。
その声に私の身体は一瞬
ビクッと震えた。
私は高鳴る鼓動を抑えながら
声がした方へゆっくりと
振り向く。
『…本城さん。』
一瞬視線が絡み合い胸が
苦しくなった。
でもすぐに視線を逸らした
私は俯いた。
徐々に二人の距離が縮まる。
私はこの場から逃げ出したいのに
足に根が生えたように動けない。
俯く視線の先に、ゆっくり
足が映り込み、私の目の前で
止まった。
「遥。」
頭の上から優しい声が
落ちてくる。
それでも私は顔を
上げられなかった。
再び頭の上から、今度は
ため息が落ちる。
「はぁ。目も合わせてくれない
のか…」
ため息と一緒に呟きが漏れた。
その時、私たちに近づく足音が
聞こえてきて…
「とりあえず…こっちへ…」
本城さんは私の腕をさっと取ると
近くの会議室へ入った。
そして鍵をかける。
静まり返ったその部屋に
重たい空気が流れた。
でも本城さんは、それを
振り払うように声を発した。
‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥
距離が少しずつ開き始めている
のを感じる。
『はぁ。』
私は大きく息を吐き
この胸のもやもやを少しでも
外へ吐き出そうとした。
(このままじゃいけないよね…)
すると不意に後ろから声を
かけられる。
「成瀬。」
(この声は…)
聞きなれた声。
姿が見えなくても私には分かる。
私はその場に背を向けたまま
立ち止まった。
周りには誰もいない。
廊下には私たち二人きりだ。
「遥…」
私に聞こえるくらいの声で
名前を呼ぶ。
その声に私の身体は一瞬
ビクッと震えた。
私は高鳴る鼓動を抑えながら
声がした方へゆっくりと
振り向く。
『…本城さん。』
一瞬視線が絡み合い胸が
苦しくなった。
でもすぐに視線を逸らした
私は俯いた。
徐々に二人の距離が縮まる。
私はこの場から逃げ出したいのに
足に根が生えたように動けない。
俯く視線の先に、ゆっくり
足が映り込み、私の目の前で
止まった。
「遥。」
頭の上から優しい声が
落ちてくる。
それでも私は顔を
上げられなかった。
再び頭の上から、今度は
ため息が落ちる。
「はぁ。目も合わせてくれない
のか…」
ため息と一緒に呟きが漏れた。
その時、私たちに近づく足音が
聞こえてきて…
「とりあえず…こっちへ…」
本城さんは私の腕をさっと取ると
近くの会議室へ入った。
そして鍵をかける。
静まり返ったその部屋に
重たい空気が流れた。
でも本城さんは、それを
振り払うように声を発した。
‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥