Kissの温度
気がつくと私は屋上にいた。



風が冷たくて頬が痛い。



でも今の私にはそれが逆に
気持よくて、心が落ち着いた。



(はぁ。私何してるんだろ…)



本城さんから逃げてきた私。



何も解決していない。



不思議と涙は出ていなかった。



少しは気がついただろうか。



私の心が本城さん、あなたから
離れていってる事に…



今回の事はきっかけでしか
なかった。



そう…



私の中ではすでに限界だった
んだ。



それでも私は彼にすがってた。



バカみたいに…



でも、もう…



私の中の答えは前から決まって
いる。



あとは、一歩踏み出すだけ。



それが以前は出来なかった。



でも、今なら…



(もう、終わりにしよう…)



私が心にそう誓った時
背後から声がかかる。



「遥?お前こんなとこで
何してんの?」



振り向くと亘が立っていた。



「もしかして、さぼり?」



ニカッと笑い私に近づく。



『ち、違うよ!そうゆう亘こそ
さぼりじゃん。』



私は急に現れた亘に驚き
声がうわずった。



(なんで亘ここに?)



私は怪訝な表情で亘を見つめる。



「遥、俺とすれ違ったのにも
気付かず、廊下ダッシュしてた
から気になって…」



『えっ!?』



(見られてた!)



「何かあったのか?」



目の前まで来た亘は心配そうに
私の瞳を真っ直ぐ見つめた。



‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥
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