Kissの温度
…??
私にはなんて呟いたのか
聞こえなかった。



彼が最後に封筒を拾い
私の側へ近づく。



『すいません、
拾ってもらっちゃって…』



彼に微笑みながら
私が彼から封筒を
受け取ろうと
手を伸ばした瞬間…

その手を掴まれ
強引に引き寄せられた。



『えっ…!?』



一瞬………



彼の唇が私の唇に
そっと触れる。


私は驚いて目を見開いたまま
固まってしまった。


そんな私を見た彼は
ニヤリと笑い
封筒を私に渡すと
「またな…」と小さく呟き
そのまま立ち去った。


私は何が起きたのか
すぐには理解できず
ただア然と立ち尽くす。


一瞬しか触れていないのに
やけに唇が熱い…。


空っぽだった私の心に
何かが埋まっていくのを感じた。


私は彼の後ろ姿を
ただぼーっと
いつまでも見つめていた。



‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥
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