Kissの温度
「あ〜亘君気にしないで。
遥ダイエット中みたいだから。」
そう言って亘に微笑んだ。
はいぃ??!!
私ダイエットなんて
してませんけど…
私は亘に気づかれないように
綾をジロっと見る。
綾はとぼけた顔をして
私の視線をかわした。
「えっ、そうなの?」
何も知らない亘は
私の姿を上から下まで
一通り見ると、
「これ以上痩せなくて
いいんじゃないの。
女は少しぽっちゃりのほうが
かわいいし。むしろ遥は
もう少し太ったほうが…」
『……そうかな。ってか、
人の体まじまじ見るな!』
私は亘の肩をバシっと叩く。
「ねぇねぇ、亘君って
少しぽっちゃりが好きなの?」
綾は体を少し前に乗り出し
目を輝かせながら聞く。
どっちかと言うと
綾は少しぽっちゃり目だった。
亘は唐揚げを口に運びながら
上目使いに綾を見ると、
「触り心地よさそうじゃん。」
そう言ってニヤリと笑った。
『何それ…亘エロい。』
「うるせぃ。」
私たちはギャーギャーと言い合いを始める。
「私ダイエットやめようかな…」
私たち二人をよそに
綾がボソッと呟いた声は
私たちの言い合いの声に
かき消され聞こえなかった。
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