ちび太とゴリさん。


「部屋の空きがないのよ…」



寮母さんは申し訳なさそうに呟く。



……てことは…



「じゃあ、このままって事ですか…?」



ちび太がすかさず問い掛ける。



「ええ」



それは私の寮生活が終わった事を意味した。



けれど、いくら最悪な結果であったとしても、私が悪い。

寮母さんにこれ以上迷惑をかける事は出来ない。



そして……なんといってもちび太。

嫌だけど、死ぬほど嫌だけど。

私に落ち度があったんだ。

頭を下げてでも、あの部屋に居座らさせてもらう事の許可を取らなくては……



だが、頭では分かっていても、いざ行動に移すとなればプライドが邪魔をする。



「今寮内は改装工事中で……改装工事が終われば別な部屋を用意できるから、それまでは……」



「分かりました」



待て、待て、なにが分かりましたなの。

私、なにも分からないんだけど。

唯一分かっている事は、このままだと私は宿無しならぬ部屋無しだ。

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