ちび太とゴリさん。
「もしかして……ゴリさ、ん…俺が勝手に決めた事……怒ってる…よね。そりゃ怒るよね……ごめんなさい」
どうして私が謝られてるんだ。
謝るべきなのは、性別を間違えて記入した私の方だ。
「と、とりあえず…一旦部屋に、も、戻ろう」
「あぁ」
怒ってなんかいない。
むしろ感謝していると、伝えられれば良かったのに。
タイミングを逃した……
変わらず私の半歩前を歩くちび太。
そんな彼の背中は先程よりも格段にしゅんとしている気がする。
顔は見えないから、一体どんな顔をしているのかは分からない。
それが返って私の心をエグる。
部屋に戻れば、沈黙が続いた。
「……飲んで、ください」
ちび太はココアを差し出す。
ココアを一口飲んだら言うんだ。
さっきはありがとう。って。
そう決意してコップに口を付けた──
「俺、人の気持ち…考えられなくて、迷惑ばかりかけるし…さっきだって、勝手にあれこれ決めちゃって」