ちび太とゴリさん。


入学式から数週間経ち、なんとか私の素性はバレずにここまで来ている。



笑顔は超超面倒臭いけれど、この女子を演じる生活に慣れすら覚え始めている。

それはきっと、ちび太も同じで上手くやっているみたい。



「妃!妃!!」



「ん?どうしたの?」



同じクラスの葉月が私の席に駆け寄って来た。



「次のHRでね、席替えするんだって!!」



葉月は得意げに言ってみせる。



「マジっつ%$#*/本当に??」



いけねぇ、いけねぇ。



ちょっと気を緩めれば素が出てしまう。

女子たるもの乱暴な言葉遣い、汚い言葉遣いは厳禁だ。



「うん!さっきね、先生から聞いたの!だから、席が近いと良いなーって!」



私に話し掛けてくる人は入学式以降かなり多くなった。

けれども、常に行動を共にするのは葉月だけで。

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