暗闇のピアニスト



手に気を集中させ、アイが何を喋っているのか考える。

でもわからない。

もうこれ以上ごまかせないと思った。

もう…アイのかわいい笑顔が見られない。

そう思うと涙が出そうになる。

アイが私の手を取り強く握りしめる。

小さな手は微かに震えていた。

私は悟った…。

母がアイに全てを話したのだと。

私はアイを、抱きしめてやることしか出来なかった。

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