暗闇のピアニスト



ご飯の用意が出来たらしい。

おみそ汁のいい匂いがする。

『いただきます…』

私はまた入院していた時の、暗いテンションに戻った。

箸を手に取り、手探りで皿を探す。

すると手の平に誰かが文字を書いていた。

『あ゙>さあけて』

何かの暗号に思えたが、私には分かった。

『おくちあけて』

と、アイが書いたと。

まだ字を習っていないアイが、一生懸命書いた言葉。

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