暗闇のピアニスト



『お母さん…聞こえないよ…。どうしよう…助けて!!!』

もう聞く事の出来ない母の優しい声。

もう聞く事の出来ない自然の音。

もう聞く事の出来ない…家族の笑い声。

医者が私の目に巻かれた包帯を、丁寧に取り始めた。

私は恐る恐る目を開ける。

どれだけ目を見開いても、明かりが見えない…。

『お母…さん…助けて…。怖いよ…』

私は一気に怖くなった。

目を開けても真っ暗。

何の音も聞こえない。

私は真っ暗闇に放り出された。

たった一人…
暗闇の中で暮らしていかなければならない。

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