イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
その子は怯えた顔をしてまた固まっている。
「俺が家まで送ってあげるよ。
大丈夫、変な奴じゃないから。
このビルの27階にある“EOC”で働いてるんだ」
「“EOC”??」
ジャスティンは、その子の事を、本当にこのビルに迷い込んだ森の子リスだと思う事にした。
それなら日本語が通じなくても納得できる。
「あ、ごめん。
俺の名前は、ジャスティンって言うんだ。
君の名前は?」
「わ、私は、木の実と言います」
「このみ? どういう漢字書くの?」
ジャスティンはスーツケースを押しながら何の気なしに聞いてみた。
「木の実のこのみです」
ジャスティンは、その子を二度見してから笑ってしまった。
木の実ってやっぱりリスじゃんか…?
「木の実って書くんだ、珍しいね。
じゃ、ごめん、悪いけど、ナッツって呼ばせてもらうね。
いいじゃん、可愛いじゃん、ナッツって」
ジャスティンは一人で浮かれていた。
このナッツの存在が、何だかとても心地いい。
「ナッツでも木の実でも何でもいいんですが…
私、やっぱり、歩いて帰ります…」
「え? 何で?」
ナッツは下を向いたまま、もぞもぞ何かを言っている。
「何? 聞こえないよ」
「私、実は、家がないんです…
今、今だけなんですけど、だから、大丈夫です。
歩いて帰りますので」