イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇



謙人は、勢いで買ってしまったかすみ草の花束を右手に持ちながらため息をついた。
このまま取引先の会社に行く予定だったが、この花束を持って行くわけにはいかない。
謙人は渋々職場に戻る事にした。

EOCのオフィスには、トオルしか残っていない。
トオルは謙人の持っているかすみ草の花束を目にして、口笛を吹いた。


「昼間っから、花束持ってどこ行くんだよ?」


謙人はトオルにうるさいと目で訴えて、ジャスティンのブースに入って行く。
綺麗に整理整頓されているデスクの上に、その花束をドサッと置いた。


「トオル、今日はずっとここにいるんだろ?」



「あ、うん、でも残業する気はないぞ」


謙人は時計を見て、時間がない事に慌てた。


「ジャスが帰ってきたら、あの花束は俺からって伝えておいて」



「何だよ、気持ち悪い」



「きっとジャスは怒ると思うけど、反省してたっぽいよなんて言ってくれたらもっと有難いんだけど」


トオルは訳が分からない顔をして鼻で笑った。


「気が向いたらな」


謙人はトオルの肩をポンポンと叩き、早歩きでオフィスを後にした。


こんな友情ごっこはこれで終わりだ。
後はフラれようが別れようが俺の知ったこっちゃない。

謙人はそう思いながら、凪の次はジャスティンというこの職場で流行っている恋の病に、もういい加減うんざりしていた。



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