イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
ジャスティンは、危機一髪のところで木の実を抱き寄せることができた。
あと一秒遅かったなら、木の実はそのまま階段を転がり落ちていたことだろう。
「ナッツ? おい、大丈夫か??」
ジャスティンはもたれかかる木の実を強く抱きしめ、そう声をかけた。
三秒位経ったのち木の実はやっと目を開いたが、でも、その目にも顔つきにも全く覇気がない。
ジャスティンは、言葉にならないほどに動揺していた。
あの時、俺が、木の実に手を差し伸べられなかったら、木の実はあのセメントでできた固い階段の上を転げ落ちた。
きっと、軽傷では済まなかったはず。
重傷どころか命を落としていても不思議じゃない。
ジャスティンの心臓や脈や体中の血液が、とてつもないスピードで暴れ出す。
こんな恐怖を味わったのは初めてだった。
「ジャスティン? ごめんなさい…
なんか立ちくらみみたいな、ちょっとぼうっとしちゃった…」
ジャスティンは、木の実を地下鉄の入口脇の段差の部分に座らせた。
「歩けそう?」
ジャスティンがそう聞くと、木の実は力なく頷いた。
「これから行かなきゃならない所とかある?」
木の実は今度は首を横に振る。
ジャスティンは立ち上がると、一番最初に来たタクシーを捕まえた。
「俺の家に行くぞ」
ジャスティンはパンパンに膨らんだスーツケースをタクシーのトランクに入れ、木の実を優しく持ち上げタクシーの後部座席に乗せた。