イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
木の実はご馳走を全部平らげた後に、何とも言えない切ない気持ちに浸っていた。
お腹が空き過ぎてジャスティンの前で倒れてしまった事で、また二人の距離が急接近した。
あの時、私が決めた会わないで考えたいという約束は、今となってはシャボン玉のようにプカプカと行き場をなくして浮いている。
ジャスティンに惹かれている自分の気持ちに蓋をして、ジャスティンの過去の事ばかりに囚われていた。
実際、私の知らないジャスティンの過去はジャスティンのものであって、私のものではない。
ここに一緒にいる今が何よりも大切であって、きっと、その中に答えが隠れている。
「今日、謙人と会ったろ…?」
ジャスティンは、木の実が食事を終えるのを待ってその事を聞いた。
木の実が気を失って倒れた時は、もう謙人の事なんかどうでもいいと思ったが、今、こうやって満足顔で元気になった木の実を前にすると、沸々とあの疑問が頭の中に沸いてくる。
自分の小ささにげんなりするけれど、でも、頭の中の嫉妬の炎は消す事ができなかった。
「謙人さん?
え? 謙人さんにそう聞いたの…?」
「いや、モナンジュのかすみ草の花束が俺の机の上に置いてあった。
他の奴に聞いたら、謙人が置いたって」
木の実は驚きながら、でも、笑ってしまった。
「あの花束、ジャスティンへのプレゼントだったの…?」
「知らないよ、全く嬉しくないんだけど」
ジャスティンはワインを持って木の実の隣に移動した。
木の実側の場所からは、最高に綺麗な夜景が一望できる。