イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
昼の時間が近づいてくると、ジャスティンは大切な事柄を忘れている事に気がついた。
木の実のスマホの番号も、ましてやアドレスやLINEのIDも何も知らない。
12時になり、パソコンでの取引先の人間との打ち合わせを終わらせると、ジャスティンは木の実の職場まで行く事にした。
モナンジュは、実は、よくお世話になっている花屋だった。
凪のかすみ草事件の時もそうだが、舞衣の送別会の時もここのお店を利用した。
品のいいオーナー夫妻がいつも快く応対してくれて、きっと俺の事は確実に覚えているはず。
そんな場合、モナンジュに顔を出す事は、木の実にとっていい事なのだろうか?
ジャスティンはB.C.squareTOKYOを出た所で、立ち止まって考えた。
そんなにしてまで、ナッツに会いたいか?
自分自身にそう問いかけてみる。
その答えは、残念だけど、どう考えてもイエスだった。
ジャスティンは長めの前髪を手で払い、降り注ぐ太陽の陽ざしに目を細める。
早くナッツに会いたい…
「こんにちは~」
ジャスティンがモナンジュの扉を開けたと同時に、オーナー夫人が飛んで来た。
ジャスティンと目が合うと、頬が紅潮していくのが分かる。
「EOCのレスターさん、今日は何の用事でしょうか?」
やっぱり、俺の名前まで覚えている…
「あの、矢代木の実さん、います?」
「え??」
「あ、はい…」
静かな沈黙が店内に訪れる。
オーナー夫人はハッとした顔をして、キョロキョロし始めた。
「木の実ちゃん、木の実ちゃん」
切羽詰まったオーナー夫人の声に驚いたのか、奥の方から木の実が飛び出してきた。
「よ、ナッツ、迎えに来たぞ」