イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
オーナーの奥様も水田さんもたまたま居合わせたお客様も、顔を赤くして頷いている。
「木の実ちゃんのお兄様も、この近くにお勤めなの?」
皆の視線が一斉に木の実に注がれた。
きっと、ジャスティンみたいなイケメンエリートの立派な兄を想像しているに違いない。
「あ、近くではありません…
公務員ですので…」
それも嘘ではない。
埼玉の奥にある小さな街で地方公務員として働いている。
「あら、そう。
じゃあ、霞が関の方なのね」
霞が関??
もう、いいや、そういう事にしておこう。
「……はい」
木の実はこれ以上突っ込まれたら、もう嘘をつく勇気がなかった。
さすがにそんなに平気に嘘なんてつけない。
「こんにちは~、注文の品を持ってきました」
玄関にタキシードを着た男の人と黒の上品なメイド服を着た女の人が、大きな荷物を抱えて立っていた。
「モナンジュさんにお届け物です。
あ、私達は、向かいのビルに入っているイタリアンレストランのビストロボーノですが、EOCのレスター様から差し入れだそうです。
どこに置いたらいいですか?」
皆の口があんぐり開いた状態の中、オーナーだけはしっかり応対した。
「あ、ありがとうございます。
とりあえず、奥のテーブルに運んでもらえますか?」