イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
「よし、はい、よく分かりました。
分かったよな? ナッツ。
もう、今日はこれでいいです」
木の実も鈴木もポカンとして、ジャスティンを見た。
「いや、もう一軒あるんですけど」
鈴木がそう言うと、ジャスティンはすりガラスの窓を開け、いかにも外のそびえ立つ壁をわざと見せつけるように、その窓の縁に腰かけた。
「そのもう一軒は、ここよりいいのかな?」
「あ、いや、値段が値段なので、次の物件も似たような感じです。
でも、確か、風呂がついてなくて、あ、でも、近くに銭湯があるのでそれは大丈夫と矢代様が…」
木の実は、鈴木の困り顔が可笑しかった。
そんな風に他人事のように思う自分が、もっと恐ろしい。
このイケメンエリート軍団のジャスティンを、ここへ連れて来てしまう前の時点からやり直したい。絶対、何があっても拒むべきだった。
「ジャスティン、私には時間がなくて、だから…」
木の実が最後まで言わない内に、ジャスティンは鈴木に声をかけた。
「車を出してもらえる?
もう、帰りたいんだけど」
ジャスティンは笑顔で鈴木に目配せをした。
目配せをされた鈴木は、ジャスティンに何も抵抗できない、まるで、西洋の何か魔法をかけられてしまったかのように。
「とりあえず、家探しについてゆっくり話し合おう。
それと、こんな物件は、俺は絶対許さないから」
木の実は訳が分からなかった。昼間にお客様が話していた事柄をふいに思い出す。
“見かけと違って、ザ・日本男児らしいわよ”