イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇



初日の“モナンジュ”は、木の実にとっては好スタートだった。

花屋の一日を大体分かっている事が、やはり強みだった。
朝の花の仕入れはオーナー夫妻が全てを仕切っていて、木の実は店内の接客だけでよかった。
花の種類はほとんど分かっているが、でも、値段が倍以上に違う。
高級志向のお客様が多いこの店で取り扱っている花達は、普通一般の仕入れとはルートも違えば金額も違う。
そして、木の実の目に映るここにいる花達は、全ての花がプライドを持ち、背筋を伸ばし澄ましているように見えて楽しかった。
小さい時から両親が花束やブーケを作るところを見て育ったため、木の実は、フラワーアレンジメントも難なくこなす事ができた。


「木の実ちゃん、器用ね」


一緒に働くもう一人のバイトさんは、私より10歳年上の主婦の方だ。


「器用というよりこの風景が日常だったので、自然と身についてる感じです」


水田さんは私の手さばきをジッと見て、優しく微笑んで頷いてくれた。


「それより、家は決まったの?
ホテル住まいって、お金かかるでしょ?」


木の実は困ったような顔をして大きくため息をついた。

本当に真剣に考えなければならない。
昨日利用したネットカフェはもう最悪最低だったから。
値段が安いと確かに客のレベルも下がるのはしょうがないが、でも、あんな居心地の悪さはお金を捨てたのと一緒だ。


「今週中には、絶対決めます。
すみません、心配かけて…」





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