イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
ジャスティンのとろけるようなキスによって、木の実の心は完全に射抜かれた。
木の実の口にある苺はずっとジャスティンのキスが止むのを待っている。
でも、その苺を口に含んだままのキスが、新しい感情を生み出した。
この苺をいつまでも口にくわえていたい。
だって、そうすれば、いつまでもジャスティンがキスを止めないはずだから。
でも、苺は、木の実の想いとは裏腹に口の中で小さくなり、いつの間にか溶けていた。
「あ……」
キスの途中なのに、木の実はそんな声を出してしまう。
「どうした…?」
「苺が……
なくなっちゃった……」
ジャスティンは、そんな木の実を優しく抱きしめる。
もう、きっと、木の実のこのキスの味を一生忘れるなんてできないと確信しながら。
「ねえ、俺達ってヤバくない?」
「え?」
木の実はジャスティンの胸に抱かれながら、キスのせいでまた違う意味でほろ酔い気分になっている。
「いや、俺達じゃないか、俺だな、ヤバいのは…
ちょっとパニくってる。
今までの俺は、一体何者だったんだ?
俺のアイデンティティは、今、上書きされて全く違うものになったも同然だよ」
木の実の朦朧とする頭にジャスティンの言葉は響かない。
俺は完全なるバイセクシャルだ。
いや、今の俺は、バイでもない。
たった一人の女の子に全てを持っていかれたマヌケなただの男だ。