イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇



7階で降りた木の実は、早歩きでそのフロアを歩き始めた。
別に一周しなくてもよかったのだが、そこが木の実のいいところでもあり、悪いところでもあった。
さっき感じた危機感は、もう木の実の中では消えている。
興味のある物や珍しい物を目にすると、すぐにその魅力の虜になり、自分の立ち場やその状況をすっかり忘れてしまう。
いい意味で素直で単純、悪い意味ではただのバカと周りの人によく言われた。

木の実は、早歩きで周るはずがいつの間にかゆっくりと歩き、レストラン中を覗いたりもした。

あ~、素敵…
こんな場所で食事をする人達と友達になりたい…

木の実は、今、自分に家がない事はすっかり忘れ、このフレンチレストランで食事をするセレブな自分を思い浮かべうっとりした。
そして、その状態のまま、またエレベーターに乗り込み窓から見える夜景をぼんやりと見ながら、止まった地下3階で何も考えずに降りた。
前を歩く人について行くと、着いた場所は駐車場だった。
木の実の前を歩く人が、何度も振り返って木の実を見る。
明らかに怪しい人と思われているのが分かった。




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